土づくりは、人づくりに等しい。

さて、タイトルの通り、土作りというのは農業において、必要不可欠、いやそれが全てだと言ってもいいでしょう。

今日は「土づくりの大切さ」のちょっとしたイメージを書きたいと思います。

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ぼくは、農業に携わる上で土づくりの大切さを身をもって体験してきました。

もし、土づくりができていないと1年を棒に振ることになります。それほどまでに土づくりとはシビアで、生活をかけている専業農家であればなおさら土づくりを怠ってはいけません。

と言いながら、ぼくも最初は、土づくりを軽んじていました。肥料の種類、種のまき方、農薬のタイミングなどと同じレベルで考えていました。しかし違いまいした。この土づくりの大切さが、最初からわかっていればもっと生産を伸ばせたはずです。

しかし、人間聞いただけは、そのことの本質を理解できません。なので何であれ失敗すべくして失敗するのです。一度失敗して学ぶ方が、一見回り道のようで、しかしそれが確実で唯一の道だと今は思います。

今回書く内容も読んでいただいている方には、失敗の体験以上にはならないと思いますが、がっつり農業経験者としての老婆心で書いていきたいと思います。(まだぼくは20代です)

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さて、「土づくりの大切さ」を言葉だけで感じてもらうには、どうしたらいいだろうかと前々から考えていました。というのも新しく入ってくる後輩や学生には同じ失敗をさせてはならず、しかし、土づくりの大切さを理解してもらわないといけません。そこで思いついたのが今回書こうと思ったことです。農業を人に例えることにしました。

農業において土づくりは、人間でいうところの人生そのものです。人は、生まれてから死ぬまで、子供時代、恋愛、仕事、日々の暮らしなどあらゆる経験値が積み重なり、ひとりの人がつくられるように、土も天候、退避、肥料、草、動物などあらゆる要因をその中に蓄積して、ひとつの土がつくられていきます。

 

土づくりは、人づくりに等しい。

 

その点、種まきや肥料、農薬などは人で言うところの恋愛や仕事のように、一要因にすぎません。完璧な人づくりができていれば何をしても結果が出るように、土も完璧であれば何を栽培してもうまく育つのです。

しかし、実際はそうもいきません。人も十人十色あるように、土も千差万別なのです。その土が過去に何を蓄積したのか、人工のもの含め太古からの土の成り立ちも知る必要があります。

そしてその土地の気候や草の生え方、作物の育ち方を見て、定期的に化学検査も必要です。そんな風にしてその土に対しての特徴を捉え、その特徴に合わせた土づくりを行うことがいい土づくりになり、結果いい作物が育つのです。

人づくりにマニュアルがないように、土づくりもマニュアルがありません。農家さんが長年の経験則で農業を行うのは、こう言った理由もあるからです。大前提、土というものは土地土地で全く違い、土づくりに絶対的な方法はないということを覚えておいてほしいです。

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とは言うものの正直、人にも教育といったマニュアルのようなものがあるわけで、土づくりもある程度マニュアル化はできます。その上、今後の機械化・効率化を目指す農業にとってはマニュアル化というものはより必要になってくるでしょう。なので土づくりのようなマニュアルにしにくい、不確実性なものは排除する方向になっていくと思います。そう考えると水耕栽培や植物工場などの方向性も頷けます。

ぼくは自然栽培論者でもないので、そう言った農業のイノベーションはどんどん進んでいくべきだと思っていますし、そんな未来を考えるとワクワクもします。しかし「土づくりの大切さ」を体験した者としては、少しだけ寂しくも思います。

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